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父の顔をみる
血の気のない顔。
衝撃で何も考えられなくなる。
最初に脳裏に浮かんだのは、じいちゃん、伊丹のばあちゃん、ふうちゃん
死んじゃった後の血の気の引いた顔を思い出した。
え、死んじゃうの?
「お父さん!」
お父さんは朦朧としてる。
それでも、必死に目を開けようとしている。
お父さんが何か言いたそうにもごもごする
神経を集中して聞き取ろうとする
父が小さく喋りだす
「どうなったん?」
「お父さん。脳が出血してんて。入院するねんで!これから4か月くらいかかるから。入院生活暇やから大変やで!」
うん。とうなずく
目を開けてると辛いらしく閉じてしまう。
私は聞き取れなかったが、姉が聞き取ったのは
「子供たちの世話しなあかんのに…」
いやいやいや!!!
こんな時ぐらい自分のこと考えて。
なんでこんな時に孫のこと考えてるの。
どんな人よ。
こんな人か。
ははは。
涙が出る。
目をとじる父。
コロナのこともありここでさよなら。
入院手続きのために看護師と話す。
父と離れるといきなり冷静になる。
何とかなるでしょ。
経過観察だし。と
なんでも突然やってくる。
逆に徐々に来ることの方が珍しいでしょ?
がん宣告だって、きっと急だし
何とかなるよ。
私たち家族はそれぞれの家に帰ることにした。